ドクターコラム
耳にピアスの穴や耳瘻孔があってもフェイスリフトはできる?
~手術前に確認したいこと~
2026.09.17
フェイスリフト
大阪難波のMIYAフェイスクリニックの宮里です。
フェイスリフトでは、耳の前から耳の周囲にかけて切開します。
そのため、耳の周りにピアスの穴や、生まれつきの小さな穴(先天性耳瘻孔)がある方は、手術前にその位置を確認しておくことが大切です。
一見すると小さな穴ですが、フェイスリフトでは皮膚を切開・剥離するため、その処理の仕方によっては術後のトラブルにつながることがあります。
トラガスのピアスの穴はどうなる?
特に注意が必要なのが、耳珠(じじゅ、トラガス)に開けたピアスの穴です。
耳珠とは、耳の穴の前にある小さな軟骨の出っ張りを指します。
フェイスリフトでは耳珠の周囲を切開し、余った皮膚を切除して縫合することがあります。
そのため、ピアス孔の位置によっては周囲の皮膚と一緒に切除され、手術後にはピアスの穴がなくなることがあります。
ただし、注意するのは「穴がなくなる」ことだけではありません。
ピアス孔の内側は、皮膚と同じような上皮で覆われています。
この上皮成分の一部が手術によって皮膚の下に取り残されると、後になって袋状のしこり(嚢胞)を形成する原因になることがあります。
そのため、ピアス孔がフェイスリフトの切開や皮膚切除の範囲に含まれる場合には、その位置を確認し、上皮成分を皮下に残さないよう適切に処理することが重要です。
先天性耳瘻孔がある場合も注意が必要です
生まれつき耳の前などに小さな穴がある状態を「先天性耳瘻孔(せんてんせいじろうこう)」といいます。
耳瘻孔は、皮膚に見えている小さな穴だけではありません。
その奥には「瘻管(ろうかん)」と呼ばれる細い管が続いており、その内側も上皮で覆われています。
フェイスリフトの切開や剥離範囲が耳瘻孔と重なる場合、瘻管を途中で切断して上皮成分を皮下に残してしまうと、後から嚢胞を形成したり、感染して赤く腫れたりする原因になる可能性があります。
フェイスリフト後の耳周囲は、傷をきれいに治していくことが非常に重要な部位です。
その近くで炎症や感染が起これば、傷の治りを含め、術後経過に影響する可能性があります。
そのため、耳瘻孔がフェイスリフトの術野に関係する場合には、位置や走行を確認し、必要に応じて適切な切除・処理を行うことが大切です。
こうした細かな部分にも「形成外科」の視点があります
フェイスリフトというと、どの層を剥離するのか、SMASをどのように引き上げるのか、といった術式に注目されることが多いと思います。
もちろん、それらは非常に重要です。
しかし実際の手術では、それだけを考えているわけではありません。
耳の形、傷をつける位置、毛髪の生え際、ピアス孔、耳瘻孔など、一人ひとり異なる耳周囲の状態を確認しながら手術計画を立てる必要があります。
私は形成外科専門医として、傷の治療や皮膚・皮下組織の手術にも携わってきました。
その経験から、フェイスリフトでも「どれだけしっかり引き上げるか」だけではなく、傷をどのようにきれいに治すか、周囲の組織をどのように扱うか、術後のトラブルをできるだけ防ぐために何が必要かまで考えることが大切だと思っています。
ピアス孔や耳瘻孔は、とても小さなものです。
しかし、小さいからといって無視してよいものではありません。
こうした細かな部分まで確認し、必要な処置を行うことも、フェイスリフトという手術の一部だと私は考えています。
フェイスリフトを予定されている方で、耳珠など耳周囲にピアスの穴がある方、または生まれつき耳の周囲に小さな穴がある方は、カウンセリングの際にあらかじめ医師へお伝えください。
フェイスリフトは、たるみを引き上げて終わる手術ではありません。
傷が治り、腫れが落ち着き、日常生活に戻るところまで含めて一つの治療です。
形成外科専門医としての経験も生かしながら、細かな部分まで考えた手術と術後管理を行うことを大切にしています。
