ドクターコラム
ディーププレーンフェイスリフトが注目される今、私が(High)SMAS法を選択している理由
2026.07.09
シワ治療
大阪難波のMIYAフェイスクリニックの宮里です。
近年、「ディーププレーンフェイスリフト」という術式が注目されています。
SNSやインターネットでは、「従来のフェイスリフトより優れている」、「最先端のフェイスリフト」、
「ディーププレーンでなければ十分な若返りは得られない」といった表現を目にすることがあります。
そのため患者様から、「先生はディーププレーンフェイスリフトを行っていますか?」
というご質問をいただくことがあります。
今回は、その問いに対する私の考えをお話ししたいと思います。
フェイスリフトは術式名だけで選ぶものではありません
まずお伝えしたいのは、私はディーププレーンフェイスリフトを否定しているわけではありません。
ディーププレーンフェイスリフトには明確な理論的背景があります。
加齢によって下垂した頬の脂肪やSMASを一体として移動させることで、
自然な若返りを目指す考え方です。
世界中で多くの優れた外科医が採用している術式であり、
適切に行われれば非常に優れたフェイスリフトの一つだと思います。
しかし、理論的に優れていることと、すべての患者様にとって最適であることは同じではありません。
フェイスリフトにおいて本当に重要なのは、術式名ではなく、
患者様にとって安全で満足度の高い結果を得られるかどうかだと私は考えています。
ディーププレーンフェイスリフトとSMAS法の違い
患者様からよく、「ディーププレーンとSMAS法は何が違うのですか?」というご質問をいただきます。
まず理解していただきたいのは、どちらもSMASを扱うフェイスリフトであるということです。
SMASとは、皮膚の下に存在する筋膜様組織で、顔のたるみと深く関係しています。
違いは、「どの層で剥離を行うか」、「どこまで組織を可動化するか」にあります。
従来のSMAS法では、皮膚とSMASをある程度分離しながらSMASを引き上げます。
一方、ディーププレーンフェイスリフトでは、皮膚とSMASを一体化した状態で、
より深い層から組織を可動化します。
イメージとしては、SMAS法が「SMASを中心に引き上げる方法」だとすれば、
ディーププレーンフェイスリフトは「頬の脂肪とSMASを一塊として移動させる方法」
と考えると分かりやすいかもしれません。
実はSMAS法でもリガメント解除は行われています
患者様向けの説明では、「SMAS法はリガメントを解除しない」、
「ディーププレーンだけがリガメントを解除する」と説明されることがあります。
しかし実際の解剖は、それほど単純ではありません。
SMASフラップを十分に可動化するためには、
SMASを固定している線維性結合を解除する必要があります。
つまり、SMAS法でもリガメント解除は行われているのです。
違いは、「解除するかしないか」ではなく、「どこまで解除するか」にあります。
実際のフェイスリフトは、
SMAS法
↓
High SMAS法
↓
Deep Plane法
というように連続的につながっています。
そのため、「ディーププレーンだから優れている」、
「SMAS法だから劣っている」という単純な比較はできません。
重要なのは、どれだけ組織を安全に可動化し、自然な位置に再配置できるかです。
私が重視しているのは効果と安全性のバランスです
フェイスリフトで私が最も大切にしていることは、
患者様が満足できる若返り効果を、安全に提供することです。
フェイスリフトにおいて最も避けたい合併症の一つが顔面神経障害です。
顔面神経は、
・笑う
・目を閉じる
・口角を上げる
など、表情を作るために欠かせない神経です。
ディーププレーンフェイスリフトでは、解剖学的に顔面神経に近い層を扱うため、
高度な解剖学的知識と技術が求められます。
もちろん熟練した術者ほど、より安全に行うことは可能なのでしょうが、
顔面神経の損傷リスクが高くなる解剖を扱う手術である以上、
患者様には術後の顔面神経麻痺の可能性について十分に理解し同意してもらって行う手術になります。
それゆえ、私は十分な若返り効果が得られるのであれば、ディーププレーンフェイスリフトでなくても、
神経リスクを可能な限り低くできる別の術式を考えます。
私が(High)SMAS法を選択している理由
私は「最も話題の術式」ではなく「患者様にとって最も利益の大きい術式」
を選択したいと考えています。
そのため現在は、SMAS法やHigh SMAS法を中心に行っています。
これらの術式でも、
・フェイスラインの改善
・ジョールファットの改善
・マリオネットラインの改善
・首のたるみ改善
に対して十分な改善効果を得ることができます。
また必要な範囲で組織を可動化しながらも、
顔面神経に近接する深部操作を最小限に抑えることができます。
私自身、多くの患者様の術後経過を見てきましたが、術式名以上に重要なのは、
自然な仕上がりと患者様の満足度だと感じています。
フェイスリフトは術式で選ぶべきか、医師で選ぶべきか
フェイスリフトの術式を車に例えると、
ディーププレーンフェイスリフトが高性能なスポーツカーだとすると、
(High)SMAS法は高性能なセダンのような存在です。
スポーツカーにはスポーツカーの魅力があります。
一方で、高性能なセダンにも優れた性能と安定性があります。
大切なのは、「どちらが優れているか」ではなく、「どのような目的で、誰が運転するのか」です。
フェイスリフトも同じです。
患者様の中には、「ディーププレーンですか?」、「(High)SMASですか?」と
術式名を気にされる方もいらっしゃいます。
しかし私は、フェイスリフトの結果を決める最も重要な要素は術式名ではないと考えています。
本当に重要なのは、
・顔面の解剖を深く理解していること
・どの層をどこまで剥離するべきか判断できること
・顔面神経の温存など、患者様の心配や不安となる手術リスクを減らすこと
・患者様ごとに適切なデザインができること
・効果的な手術で、自然で長持ちする結果を作れること
などです。
同じディーププレーンフェイスリフトでも、執刀医によって内容や結果は大きく異なります。
同じように(High )SMAS法でも、結果には大きな差が生まれます。
つまり患者様にとって本当に大切なのは、「どの術式なのか」ではなく、
「その医師がなぜその術式を選択しているのか」なのです。
私がディーププレーンフェイスリフトを選択しないのは、それを知らないからではありません。
解剖学的な理論や考え方を理解したうえで、効果と安全性のバランスを考え、
現在は(High )SMAS法を選択しています。
そして何よりも大切にしているのは、術式名ではなく患者様の満足度です。
フェイスリフトは流行の術式を競う手術ではありません。
患者様一人ひとりに対して、安全に、自然に、そして満足していただける若返りを実現すること。
それが私の考えるフェイスリフト治療です。
ディーププレーンフェイスリフトをご希望の場合
もし私が診察した結果「この患者様にはディーププレーンフェイスリフトが適している」と考えた場合や
患者様ご自身がディーププレーンフェイスリフトに強いご希望をお持ちの場合には、
必ずディーププレーンフェイスリフトを数多く手がけている経験豊富な医師のカウンセリングを
受けていただくことをおすすめしています。
術式選択で最も大切なのは、患者様ご自身が十分に理解し、納得したうえで決定することだからです。
フェイスリフトは術式名を競う手術ではありません。患者様にとって本当に大切なのは、
「ディーププレーンフェイスリフトかどうか」ではなく、自然で安全な若返りが得られることです。
私はこれからも流行や名称に左右されることなく、
患者様一人ひとりにとって最善と思える治療をご提案していきたいと考えています。
